真夏を迎え、モータースポーツシーズンも多くのシリーズが折り返しに入りました。今月のマンスリーレポートは、米国WTSCシリーズと国内スーパー耐久、GTワールドチャレンジ・アジアシリーズ、タイ・スーパーシリーズの模様をお伝えします。

WeatherTech SportsCar Championship第6戦 モスポート
Chevrolet Grand Prix
7月7日(金)から9日(日)にかけて、カナダ・オンタリオ州ボーマンビルのカナディアンタイヤ・モスポート・パークで2023年WeatherTech SportsCar Championshipシリーズの第6戦が行われました。
今季の同シリーズには、バッサー・サリバンからGTDプロクラスに1台、GTDクラスに1台と計2台のLEXUS RC F GT3が参戦。2時間40分のスプリント戦となる今大会にはGTDプロクラスは14号車がレギュラードライバーのジャック・ホークスワースとベン・バーニコート、GTDクラスの12号車は、フランキー・モンテカルボとアーロン・テリッツというドライバーラインナップで臨みました。
予選ではここまでシーズン5戦中2勝を含む全レースで表彰台を獲得しランキング首位につける14号車が今季2度目となるポールポジションを獲得。12号車は予選2番手と今大会もLEXUS RC F GT3は両クラスで予選から速さを見せました。
決勝レースでは、ポールポジションからスタートした14号車が中盤まで合計46周にわたって首位を快走。しかし、63周目、フルコースコーション中にホークスワースからバーニコートへとドライバーを交代し、再スタートが切られた直後、首位を争っていた車両と接触。共にコースオフを喫した14号車はラジエータにダメージを負い、ガレージでの交換を余儀なくされてしまいました。これで大きく順位を落とした14号車でしたが、修復後コースへと復帰し、4位でフィニッシュ。14号車はシリーズランキング首位の座を守りました。
12号車は、決勝前のウォームアップ走行でエンジントラブルに見舞われ、エンジン交換を強いられたため最後尾グリッドへ降格。加えてエンジン交換作業がぎりぎりで規定のスタート手順に間に合わなかったため、レーススタート後にドライブスルーペナルティも科されることとなってしまいました。しかし12号車はそこから粘り強く順位を上げていき、終盤には接触もあったものの6位まで追い上げてチェッカーを受けました。
リザルト
クラス | 順位 | グリッド | No. | ドライバー | チーム | 周回 | トップとの差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
GTDプロ | 4位 | 1番手 | 14 | ジャック・ホークスワース ベン・バーニコート | バッサー・サリバン | 89 | 22 Laps |
GTD | 6位 | 2番手 | 12 | フランキー・モンテカルボ アーロン・テリッツ | バッサー・サリバン | 110 | 1 Lap |


WeatherTech SportsCar Championship第7戦 ライムロック
FCP Euro Northeast Grand Prix
7月21日(金)と22日(土)の両日、米国コネチカット州レイクヴィルで2023年WeatherTech SportsCar Championshipシリーズの第7戦が2時間40分のスプリント戦として行われました。
今大会はプロトタイプ車両を除いた、GTDプロとGTDクラスの車両のみで行われました。LEXUS RC F GT3はバッサー・サリバンからシリーズ参戦の2台がレギュラードライバーのラインナップで出場。
予選では、14号車が最前列2番手グリッドを獲得。12号車は5番手につけました。
決勝では、2番手からスタートしたホークスワースの14号車が2位をキープし、2スティントを走ってグリーン下でドライバー交代のため最後のピットイン。交代したバーニコートはピットで落とした順位をすぐに取り戻し、終盤戦は2位で首位の車両を猛追。3位の車両も含めた3台での激しい首位争いを繰り広げました。
最後まで激戦を繰り広げたトップ3台は僅か0.5秒差でチェッカー。14号車は惜しくも優勝はならなかったものの、後続からの追撃は凌ぎ切り、2位フィニッシュを果たしました。この結果、14号車とLEXUSはドライバーとマニュファクチャラーの両シリーズランキング首位の座を守ると共に、2位との差をさらに広げることとなりました。
5番手からスタートした12号車は、スタート直後の混乱で8位まで順位を落とすも、最初のピットを迅速な作業でこなしてポジションアップ。モンテカルボからテリッツへとドライバー交代した後は4位まで順位を上げましたが、レース残り40分というところでコースオフを喫し、グリル清掃のためにピットイン。このピット時にピットロードのスピード違反を取られ、ドライブスルーペナルティも科されることとなってしまった12号車は、12位でレースを終えました。
リザルト
クラス | 順位 | グリッド | No. | ドライバー | チーム | 周回 | トップとの差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
GTDプロ | 2位 | 2番手 | 14 | ジャック・ホークスワース ベン・バーニコート | バッサー・サリバン | 168 | 0.336 |
GTD | 12位 | 5番手 | 12 | フランキー・モンテカルボ アーロン・テリッツ | バッサー・サリバン | 166 | 2 Lap |


ENEOSスーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONE
第3戦 SUGO
SUGOスーパー耐久3時間レース
7月8日(土)と9日(日)の両日、宮城県のスポーツランドSUGOでENEOSスーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONEの第3戦「SUGOスーパー耐久3時間レース」が開催されました。
今シーズンの同シリーズには、最速のST-XクラスにaprからDENSO LEXUS RC F GT3 31号車が参戦しています。今大会31号車は、永井宏明/小高一斗/嵯峨宏紀のドライバーラインナップで3時間レースに挑みました。
予選の行われた8日(土)は、朝から雨模様。しかし、予選開始時には雨は止み、ライン上はほぼドライに。Aドライバーの永井がまずはトップタイム。Bドライバー予選時にはまた雨が降り出すも、小高が2番手タイムをマークし、2人のタイム合算で決定される予選で、31号車にとっては約2年ぶりとなるポールポジションを獲得しました。
9日(日)の決勝は2グループに分けて実施。LEXUS RC F GT3が出場するST-Xクラスは午後2時に3時間の決勝レースが開始されました。
ポールポジションからスタートした31号車は、スタートドライバーを担当した永井が5位まで順位を落とすも着実に周回を重ね、嵯峨へとドライバーチェンジ。嵯峨が3位へと順位を上げ、残り1時間に近付いたところでセーフティカーが出されたタイミングを見計らって最終ドライバーの小高へと交代しました。
小高は77周目に3位、84周目に2位へと追い上げ、スーパー耐久でのLEXUS RC F GT3初優勝なるかと注目されましたが、92周目に突然スローダウン。トランスミッションのトラブルに見舞われ、ピットイン。終盤コースへと復帰し、5位でチェッカーを受けました。
リザルト(ST-Xクラス)
順位 | グリッド | No. | ドライバー | チーム | 周回 | トップとの差 |
---|---|---|---|---|---|---|
5位 | 1番手 | 31 | 永井 宏明/小高 一斗/嵯峨 宏紀 | apr | 94 | 25 Laps |


ENEOSスーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONE
第4戦 オートポリス
スーパー耐久レース in オートポリス
7月29日(土)と30日(日)の両日、大分県のオートポリスでENEOSスーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONE の第4戦「スーパー耐久レース in オートポリス」が開催されました。
今大会は5時間レースとして行われ、ST-XクラスにaprからDENSO LEXUS RC F GT3 31号車が参戦しています。今大会も31号車は、永井宏明/小高一斗/嵯峨宏紀のドライバーラインナップで挑みました。
29日(土)に行われた予選では、3番手グリッドを獲得しました。
30日(日)は朝まで雨が降り天候が心配されたものの、決勝レースがスタートする頃までには止み、ドライコンディションで5時間のレースが戦われました。
31号車は3番手スタートから一時は2位まで順位を上げ、さらに首位を狙えるペースで追い上げを見せていましたが、残り2時間ほどのところでサスペンショントラブルに見舞われコースオフ。なんとかピットまで自力で戻り、修復してレースに復帰しましたが、6位でレースを終えました。
リザルト(ST-Xクラス)
順位 | グリッド | No. | ドライバー | チーム | 周回 | トップとの差 |
---|---|---|---|---|---|---|
6位 | 3番手 | 31 | 永井 宏明/小高 一斗/嵯峨 宏紀 | apr | 143 | 9 Laps |


Fanatec GT World Challenge Asia Powered by AWSシリーズ
第3大会 鈴鹿
Fanatec GT World Challenge Asia Powered by AWSの第3戦が7月14日(金)から16日(日)にかけて、三重県の鈴鹿サーキットで行われました。
今季の同シリーズはタイ、マレーシア、日本の3カ国を巡る全6大会で行われますが、そのうち4大会が日本で行われ、この4大会でのジャパンカップも設けられました。タイでの第1大会のあと、富士で行われた第2大会に続き、今大会鈴鹿、そしてもてぎ、岡山と連戦でジャパンカップが戦われます。
GT3車両などが多数参戦することで活況を呈している同シリーズには、LEXUS RC F GT3がK-tunes Racingから参戦。今大会は藤井大温/新田守男のコンビで出場しました。
前大会は、初レースと言うこともあり使い慣れないタイヤでのセットアップに苦しんだ96号車でしたが、今大会はタイヤの習熟も進み、好結果が期待されました。
15日(土)の午前中に予選が行われ、ジェントルマンドライバーで、今大会初めてLEXUS RC F GT3をドライブする藤井がレース1の予選で32番手。ベテラン新田守男がアタックしたレース2の予選では、アタックラップ中に赤旗が出され、タイヤのピークを逃したことで惜しくも21番手となりました。
予選の後、気温30度を超える暑さの中で、午後2時20分より60分で争われるレース1の決勝がスタート。1周目からセーフティカーが導入される波乱の幕開けとなりました。
5周目にレースは再スタート。96号車は、6周目のデグナーコーナー進入で、前を行く車両がラインを外したあとコースへと戻ろうとするのを避けようとして縁石に乗り、コントロールを失ってコーナー内側のバリアにクラッシュ。そのままレースを終えることとなってしまいました。また、このアクシデントによる車両の損傷はかなり大きく、16日(日)のレース2も欠場となりました。
レース1 リザルト
順位 | グリッド | No. | ドライバー | チーム | 周回 | トップとの差 |
---|---|---|---|---|---|---|
リタイア | 32番手 | 96 | 藤井大温/新田守男 | K-tunes Racing | 5 | 21 Laps |


B-Quik Thailand Super Series第3戦、第4戦バンセーン
6月27日(火)から7月2日(日)にかけて、タイ・バンセーンの市街地特設コースでタイ・スーパーシリーズの第3大会(第3戦、第4戦)が行われました。5月の第2大会はGT3クラスが開催されなかったため、同クラスとしては今季2大会目となります。
様々な車両カテゴリーによるレースが行われている同シリーズに、今季はTOYOTA GAZOO Racing ThailandからLEXUS RC F GT3 19号車が、マナット・クラッパラノンと、国内SUPER GTの参戦経験も持つナタポン・ホートンカムのコンビで最高峰のタイ・スーパーカーGT3クラスに参戦しています。
今大会の舞台となるコースは、バンコクから車で1時間ほどの場所にあるローカルなビーチリゾート地、バンセーンの市街地に特設されたコース。気温35度を超える暑さの中、セーフティゾーンのない狭いコースで、アクシデントが続出するレースとなりました。
予選では9号車はレース1で4番手、レース2は6番手グリッドを獲得。
1日(土)に行われたレース1(1時間)では、序盤にセーフティカーが導入され、9号車は一時2位までポジションアップ。更なるセーフティカー導入を予測してピットタイミングを遅らせるも狙い通りにはいかず、ピットを終えた時点では5位へとポジションを落とすこととなりました。
レース後半に入って他車のクラッシュにより再びセーフティカー導入となり、残り10分でのスプリントとしてレースが再開されると、9号車はバトルを繰り広げ、4位でチェッカーを受けました。
2日(日)の決勝レース(1時間)は、9号車は6番手グリッドからスタート。ライバル勢がアクシデントで順位を落としていく中で着実に周回を重ね、最後はクラッシュ車両によるセーフティカー先導のままフィニッシュとなり、4位でチェッカーを受けました。
今季ここまで表彰台1回を含む、4戦全てでトップ4完走と安定した成績を続けているクラッパノン/ホートンカム組は、シーズンの全8戦中4戦を終えた時点でドライバーズランキングで首位に立ちました。
レース1 リザルト
順位 | グリッド | No. | ドライバー | チーム | 周回 | トップとの差 |
---|---|---|---|---|---|---|
4位 | 4番手 | 9 | マナット・クラッパラノン ナタポン・ホートンカム | TOYOTA Gazoo Racing Team Thailand | 31 | 30.005 |
レース2 リザルト
順位 | グリッド | No. | ドライバー | チーム | 周回 | トップとの差 |
---|---|---|---|---|---|---|
4位 | 6番手 | 9 | マナット・クラッパラノン ナタポン・ホートンカム | TOYOTA Gazoo Racing Team Thailand | 34 | 1 Lap |


次号のマンスリーレポートは8月29日頃の発行を予定しています。