モータースポーツシーズンも夏真っ盛り。世界中で熱い戦いが繰り広げられています。今月のマンスリーレポートでは、米国WeatherTech SportsCar Championshipシリーズと、同じ米国での開催となったFIA世界耐久選手権(WEC)、そして国内ではSUPER GTとSROジャパンカップの模様をお伝えします(予定されていたSUPER GT第5戦は悪天候のため12月に順延となりました)。

WeatherTech SportsCar Championship第8戦 ロードアメリカ
IMSA SportsCar Weekend
8月2日(金)から4日(日)にかけて、米国ウィスコンシン州エルクハートレイクのロードアメリカで2024年WeatherTech SportsCar Championshipシリーズの第8戦が2時間40分のスプリント戦として行われました。
今季の同シリーズには、バッサー・サリバンからGTDプロクラスに1台、GTDクラスに1台と計2台のLEXUS RC F GT3が参戦しています。
GTDプロクラスの14号車はジャック・ホークスワースとベン・バーニコートのコンビ。GTDクラスの12号車はパーカー・トンプソンとフランキー・モンテカルボがドライブします。
予選では、14号車が4番手、12号車が9番手グリッドを獲得。
決勝レースでは、4番手からスタートを切った14号車が、素晴らしいダッシュでトップ3争いを展開。しかし、ピットレーンでの違反を複数回取られ、ポジションダウン。9位でチェッカーを受けました。
9番手からスタートした12号車は、モンテカルボの好走で序盤に4位までポジションを上げ、45分ほど経過したところでトンプソンへとドライバーチェンジ。ピット作業中に幸運にもフルコースコーションが出されたことで、2位で再スタートを切りました。再スタート後8周でトンプソンは首位を奪取。しかし、その後はフルコースコーションを期待したチームのピット戦略に反しコーションは出ず、12号車は残り3分というところでスプラッシュ・アンド・ゴーの給油ピットを強いられ、11位でチェッカーを受けました。
リザルト
クラス | 順位 | グリッド | No. | ドライバー | チーム | 周回 | トップとの差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
GTDプロ | 9位 | 4番手 | 14 | ジャック・ホークスワース ベン・バーニコート | バッサー・サリバン | 60 | 1 Laps |
GTD | 11位 | 9番手 | 12 | フランキー・モンテカルボ パーカー・トンプソン | バッサー・サリバン | 60 | 45.169 |


WeatherTech SportsCar Championship第9戦 ヴァージニア
Michelin GT Challenge At VIR
8月23日(金)から25日(日)にかけて、米国ヴァージニア州オールトンのヴァージニア・インターナショナル・レースウェイで2024年WeatherTech SportsCar Championshipシリーズの第9戦が2時間40分のスプリント戦として行われました。
今季最後のスプリント戦となる今大会は、通常の同シリーズ戦のようにプロトタイプカークラス車両は出場せず、GTDプロクラスとGTDクラスのみで行われました。GTDプロクラスにはジャック・ホークスワースとベン・バーニコートが14号車で、GTDクラスにはフランキー・モンテカルボとパーカー・トンプソンが12号車で出場しました。
予選では、14号車がGTDプロクラス6番手、12号車がGTDクラス7番手グリッドを獲得。
決勝レースでは、6番手からスタートしたホークスワースの14号車が、トップよりも速いペースで周回遅れを捌きながら走行。
その後、戦略通り早めにピットへ入りましたが、アウトラップで他車と接触しスピンしコースオフ。順位を落とすこととなってしまいました。
しかし、ホークスワースは諦めることなく追い上げを開始し、一時は4位までポジションアップし、バーニコートへと交代しました。
バーニコートは30分ほどを残したところで最後のピットを行い、6位で再スタートしたあと、チェッカー目前まで激しいバトルを繰り広げ、6位を堅守してチェッカーを受けました。
12号車は7番手グリッドからスタートしたモンテカルボが、混乱のレースを上手く走り、トンプソンへとドライバーチェンジ。トンプソンもGTDクラスのライバルとのバトルを繰り広げ、終盤のフルコースコーションからの再スタートの時点では6位を走行。さらに上位を目指しましたが、惜しくもスピンを喫し、10位に終わりました。
リザルト
クラス | 順位 | グリッド | No. | ドライバー | チーム | 周回 | トップとの差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
GTDプロ | 6位 | 6番手 | 14 | ジャック・ホークスワース ベン・バーニコート | バッサー・サリバン | 86 | 18.620 |
GTD | 10位 | 7番手 | 12 | フランキー・モンテカルボ パーカー・トンプソン | バッサー・サリバン | 86 | 41.452 |


世界耐久選手権(WEC)第6戦 COTA
Lone Star Le Mans
FIA世界耐久選手権(WEC)第6戦「ローンスター・ル・マン」が8月30日(金)から9月1日(日)にかけて、米国テキサス州オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカ(COTA)で開催されました。
今シーズンから同シリーズには、アコーディスASPチームより2台のLEXUS RC F GT3がLMGT3クラスにフル参戦しています。
比較的新しいサーキットであるCOTAは、反時計回りの珍しいコースで、高低差も大きく、ダイナミックなレイアウトでドライバーの間でも高い人気を持っています。
この週末は天候に恵まれ、テキサスの猛暑の中で激戦が繰り広げられました。
30日(金)の公式練習では、公式練習2回目で87号車が4番手タイムをマークするなど速さを見せました。
31日(土)に行われた予選(10分間)では、LMGT3クラスはブロンズドライバーがアタックを担当。路面温度が50度を超える暑さの中、コースをはみ出し、走路外走行をとられる車両も多発。木村武史がアタックを担当した87号車もベストタイムを無効とされることとなりました。
この予選での上位10台がハイパーポールへと進出しますが、アーノルド・ロビンがアタックした78号車は惜しくも12番手。87号車は17番手で共にハイパーポール進出は逃すこととなりました。
9月1日(日)気温32度、路面温度47度という暑さの中で、午後1時に6時間で争われる決勝レースのスタートが切られました。規定により、LMGT3クラスは予選に続きスタートもブロンズドライバーが担当することになっており、78号車はロビン、87号車は木村がスタート。どちらも大きな順位変動は無いまま周回を重ねていきました。そんな中、ロビンは21周目に263.9km/hという、このレース中LMGT3クラスでの最高速を記録して見せました。
両ドライバー共にダブルスティントをこなして約2時間後にドライバーチェンジ。78号車はケルビン・ファン・デル・リンデ、87号車はエステバン・マッソンへ。
激しいバトルで各車がぎりぎりの走行を続ける中、コース外走行のペナルティも多発。LEXUS RC F GT3の2台も例外ではありませんでした。
レースが折り返す頃にはトップ10へと浮上した78号車のファン・デル・リンデはそのまま2スティント目へ。87号車は1時間を走行して14位でホセ・マリア・ロペスへと交代。
夕方になっても暑さは衰えず厳しいコンディションでのレースが続く中、残り2時間で78号車はダブルスティントを終えたファン・デル・リンデが12位でクレメンス・シュミットへ。13位のロペスは連続スティント走行を続けました。
しかし、終盤に来て78号車には、右リアタイヤの空気圧が推奨値を下回っていたとして技術的な違反を取られ、5秒加算とストップ&ゴーのペナルティが科されてしまいました。また、その30分後には87号車も青旗無視としてドライブスルーペナルティを受けることとなりました。
レースは最後の1時間も各所で激しいバトルが繰り広げられました。ペナルティを受けながらも、最後のスティントを担当したシュミットとマッソンはポイント圏内入りを目指し諦めずにバトルを展開。78号車が9位でフィニッシュし、ポイントを獲得。87号車は惜しくも入賞を逃し11位でチェッカーを受けました。
リザルト(LMGT3クラス)
順位 | グリッド | No. | ドライバー | チーム | 周回 | トップとの差 |
---|---|---|---|---|---|---|
9位 | 12番手 | 78 | ケルビン・ファン・デル・リンデ クレメンス・シュミット アーノルド・ロビン | アコーディスASP | 163 | 1 Lap |
11位 | 17番手 | 87 | ホセ・マリア・ロペス エステバン・マッソン 木村武史 | アコーディスASP | 162 | 2 Laps |


AUTOBACS SUPER GTシリーズ第4戦 富士
FUJI GT 350km RACE
AUTOBACS SUPER GT第4戦「FUJI GT 350km RACE」が8月3日(土)、4日(日)の両日、静岡県の富士スピードウェイで開催されました。
前大会の鈴鹿から2か月という長いインターバルを経て、SUPER GTが再開。第2戦と第3戦は3時間のタイムレースでしたが、今大会は開幕戦以来の距離レースとして開催されました。しかし、これまで主に戦われてきた300kmよりもやや長い、350kmという距離は初めて、また、真夏のレースということもあり、ドライバー、クルマ、タイヤへ大きな負担がかかる厳しい戦いとなりました。
今季の同シリーズには、GT300クラスに2台のLEXUS RC F GT3が参戦しています。
3日(土)気温は33度、路面温度54度という暑さの中、予定よりも5分遅れの午後2時半より予選が行われました。直前に行われたFIA-F4レースでコース上にオイルが出たため、その処理のために予選進行が遅延となり、更にこの路面状況の悪化を考慮して、GT300クラスの予選はウェット時のフォーマットで実施されることとなりました。2グループに分けて実施されるGT300クラスは、Q1の結果で上位グループ、下位グループへと分けられてQ2を実施し、Q2のタイムでグリッドを決定します。
LEXUS RC F GT3は2台共にA組でQ1に出走。ANEST IWATA Racing RC F GT3 50号車はイゴール・オオムラ・フラガのアタックで7番手につけ、2戦連続でQ2上位グループでの出走を果たしました。
一方、K-tunes RC F GT3 96号車は高木真一がアタックするもタイムが伸びず、14番手に終わり、Q2は下位グループへ進むこととなりました。
Q2上位グループでは、50号車は古谷悠河がアタックし14番手タイムをマーク。50号車にとって今季最上位グリッドを獲得しました。96号車はQ2下位グループで6番手タイムをマークし、スターティンググリッドは22番手となりました。
4日(日)も好天に恵まれ、猛烈な暑さとなりました。午後2時30分、気温35度、路面温度56度という厳しいコンディションの下、静岡県警の白バイとパトカー先導によるパレードラップ、フォーメーションラップを経て77周(350km)で争われる決勝レースのスタートが切られました。
50号車は古谷がスタートを担当。しかし、走りだしてすぐに電装系にトラブルが発生し、緊急ピットイン。修復を行い、レースへ復帰したものの、この時点で周回遅れとなっており、勝負権はほぼ失ってしまいました。
96号車は新田守男がスタートを担当。序盤から着実に順位を上げ、22番手スタートから3周目には17位まで浮上。好ペースで周回を重ねていきました。
しかし、タイヤの摩耗が厳しくなってくるとペースダウン。また、予定していたピットインの周回を迎える前に、新田は不具合を感じて緊急ピットイン。こちらは他車のホイールウェイトがラジエータに刺さるという非常に珍しく不運なアクシデントで、冷却水を失ってしまっており、なんとかピットに戻ることは出来ましたが、そのままレースを終えることとなってしまいました。
50号車は序盤のトラブルで大きく順位を落としたものの、後半を担当したフラガは好ペースでの周回を重ね、20位でチェッカーを受けました。
リザルト(GT300クラス)
順位 | グリッド | No. | ドライバー | 車両名 | 周回 | トップとの差 |
---|---|---|---|---|---|---|
20位 | 14番手 | 50 | イゴール・オオムラ・フラガ 古谷 悠河 | ANEST IWATA Racing RC F GT3 | 69 | 2 Laps |
リタイア | 22番手 | 96 | 新田 守男/高木 真一 | K-tunes RC F GT3 | 24 | 47 Laps |


SRO Japan Cup 第7,8戦 岡山
SROジャパンカップの第7,8戦が8月23日(金)から25日(日)にかけて、岡山県の岡山国際サーキットで開催されました。
昨年までFanatec GT World Challenge Asia Powered by AWSの選手権の一部として開催されていたジャパンカップですが、2024年シーズンからはGTWCAとは別に新たなシリーズとして独立。日本国内で4大会8レースにて争われており、今大会が今季の最終大会となります。
同シリーズのGT3クラスにはLEXUS RC F GT3が1台、K-tunes RC F GT3 96号車としてシリーズ参戦しています。96号車は前大会鈴鹿の第5戦で初優勝。第6戦も2位表彰台を獲得したことで、この最終大会では逆転チャンピオンの可能性を残しており、チームの地元でもある岡山での大会に大きな期待と共に臨みました。
しかし、23日(金)に行われた2度の練習走行に続くブロンズドライバーの練習走行セッションで、96号車はクラッシュを喫してしまいました。
ドライバーは無事でしたが、車両の損傷が激しく、レースウィーク中の修復は不可能と判断し、その後の走行はすべて見あわせることとなり、96号車のシーズンはこれで終了となりました。
第7戦・第8戦 リザルト
順位 | グリッド | No. | ドライバー | チーム | 周回 | トップとの差 |
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出走せず | 96 | 末長一範/新田守男 | K-tunes Racing | - | - |


次号のマンスリーレポートは10月1日頃の発行を予定しています。