Kamui's Race Diary 2016

スーパーフォーミュラ 第5戦 岡山

Kamui's Race Diary 2016 スーパーフォーミュラ 第5戦 岡山

「クルマが思い通りに動いてくれず歯がゆいですが、僕は最後まであきらめません」

 みなさんこんにちは。  今回の岡山戦は初めて土曜日と日曜日に予選と決勝レースを行う2レース制でした。最終戦の鈴鹿は日曜日に2レースを行われますが、今回は土日それぞれに予選と決勝を設け、土曜日のレース1はスプリント、日曜のレース2は4輪タイヤ交換が義務の2種類のレースフォーマットを用意しました。
 結果としてはそれぞれ違う勝者が誕生したし、なによりもファンのみなさんが土日の2日間それぞれですごく楽しんでもらえたと思います。土曜日の夜、チーム主催のトークショーがあり、そこでもファンの方たちから直接2レース制を楽しんでいると聞けたので、やってよかったと思います。
 実際のところ、クルマのメンテナンスを行うメカニックはつらかったと思うし、ドライバーとしても大変だったと思います。でも僕らがどれだけしんどくても、お客さんが良かったと言ってくれるならそれでいいと思います。
 そもそもこの2レース制は僕たちドライバーからのリクエストでした。わざわざサーキットに応援しにきてくれた人たちに対して、もっと走っている姿を見せたいと思っていたし、日曜日だけでなく、土曜日だけ来られる人や、土日の2日間来てくれたファンのひとたちがもっと楽しんでもいたいから出てきたアイデアでした。
 今回サーキットに応援に来てくれたファンのみなさんと、土日2レースを実現してくれた主催者には感謝しています。

 さて、僕のレースについてですが、、、残念ながら土日ともうまく行きませんでした。  クルマの方向性としては前回のもてぎ戦でこの方向かな、というものを見つけたので、持ち込みの時点でバランスはよくなっていました。ただ、土曜日の予選のスピンは僕が行き過ぎてしまいました。そのせいでレース1は最下位スタートとなってしまったので、途中からロングランのテストをしていました。一方このレース1ではチームメイトが3位表彰台に入ったので、チームにとってはよかったと思います。

 日曜日は気持ちを切り替えて、とにかく無理せずに普通にいこうと思っていたんですが、朝の予選で今度はブレーキにトラブルがあってコースオフしてしまいました。ウオームアップ中の全然無理する必要のないラップで、ターン3で普段より20メートル手前でブレーキングしたらいきなりロックしたので、一回ブレーキを抜いてもう踏んだら左側がなくてイン側しか効かずまったく減速できませんでした。原因は分かっていません。うまくいかないときはとことんついてないですね。

 そのためレース2は10番グリッドからのスタートでしたが、またスタートがうまくいかず、クルマに飲み込まれる感じで1コーナーに入ることになってポジションを落としてしまいました。その後もタイヤの内圧が高すぎたせいで1セット目のペースも思ったほどではなかったです。
 ピットには「とりあえず内圧高いから、とりあえず入りたい!!」ってずっと言ってたんですけど、入れなかったんです。実は無線トラブルで僕の声がチームには聞こえていなかったんですね。
 チーム側には僕が喋っているであろうタイミングで雑音が聞こえていたらしく、トラブルに気づいたようですが、幸いにもチームの声は僕に届いていたので、「内圧が高いんだったら、メインストレートで手を上げて」って言われて 苦笑。ほんまに見えるんかなあと思ってトライはしましたよ。でも上げすぎたら絶対風圧で手は後ろに持って行かれるし、すぐにアップシフトをしないといけないので、ちょっと手を上げてすぐシフトアップして、と大変でした 笑。 そのあとは「ピットに入りたかったらピットウオール側を走ってくれ」と言われたんで、途中2周ほどメインストレートのピットウオール側を走っていたのはそのためです。

 このレースでポジティブだったことは、レース中の4輪タイヤ交換のピット作業がスムーズにいったことですね。給油作業がないので、それぞれのタイヤをひとりずつが担当する作業でしたが、周りのチームよりも速い8秒という時間で作業をしてくれました。実際に僕自身もクルマのなかで「速いな!!」と感じるほどで、地道に練習を重ねてくれたメカニックに感謝しています。

 2セット目のタイヤはまずまずでしたが、上位勢に比べるとまだまだ足りていませんでした。ベースになるクルマの方向性が見えてきたのですが、ロングランについても課題が見えました。

 今回の2レース制ではっきりしたんですが、このレースは予選とスタートを決めればなんとかなる。ただ今回はその両方がダメでした。特にスタートに関しては、もしポールポジションを獲っても抜かれる自信しかない。去年は安定してずっと良かったし、今年の7号車のスタートセッティングも僕がチームメイトに教えたもので、彼はまったく問題ない一方で、僕のクルマはまったくダメという残念な状況です。シグナルが消えるまでのウエイティングフェーズで、エンジンの振動に負けないようにクラッチの開度を非常に細かく調整したり、ドライバーとしてできることはいつもちゃんとやっているんだけど、安定しない。去年とは人も同じなんですけどね。
 レース1の後には8号車に7号車のステアリングをつけたり、僕が実際に7号車に乗って7号車のステアリングと8号車のステアリングを使ってクラッチのつながり確認したり、チームやエンジン側のエンジニアと一緒に現場で出来る限りの対策をしたんですが、うまく解決できませんでした。次の菅生戦に向けて関係者全員が問題解決に取り組んでくれています。とにかく彼らを信じています。
 クルマが思い通りに動いてくれず歯がゆいですが、次の菅生ではとにかく落ち着いてちゃんとスムーズに1週間を過ごしたいです。とにかくノントラブル。それだけですね。
 サーキット自体は去年がまったく初めてだったので大変でしたけど、今年は去年走った分、少しは攻略できると思います。
 僕は最後まであきらめませんのでファンのみなさんも引き続き応援よろしくお願いいたします。

  • ファンの子どもにサインをする小林可夢偉
  • 岡山国際サーキットを走行するSUNOCO TEAM LEMANS SF14 8号車
  • ピットアウトするSUNOCO TEAM LEMANS SF14 8号車
  • 決勝レースを戦うSUNOCO TEAM LEMANS SF14 8号車
  • 7号車に乗り、ステアリングを確かめる小林可夢偉
  • 8号車に乗り、7号車のステアリングを確かめる小林可夢偉
  • 山田健二監督と話す小林可夢偉