WRC

2017シーズン インタビュー Vol.3

Juho Hänninen

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team
ドライバー ユホ・ハンニネン

“シーズン開幕当初、僕は頑張りすぎていた。中盤戦以降、経験を積むことを受け入れた”

2016年からテストを担当してきたハンニネン。シーズン前半は苦しい展開が続いたが、自信を取り戻した中盤以降は好成績を記録。地元フィンランドでは待望の表彰台も手にした。

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Text/Keiko Ito

─トヨタから初参戦となった17年は、どのようなシーズンでしたか?
「いい1年だった。チーム内の雰囲気も良かったし、ヤリ-マティや(ラトバラ)やエサペッカ(ラッピ)との相性も良かった。情報を共有するという意味で、すごくオープンな関係を保つことができたんだ。ワークスドライバーとしてフル参戦するまで、僕はかなり時間がかかったから、ふたりからのフィードバックを共有できたのはすごく助かったよ。それに、僕はこのヤリスWRCを初期段階からドライブしてきた。チームと一緒にその成長過程を見ることができたのも楽しかったね」

─そもそもチーム加入のきっかけを教えてください。
「15年のラリーフィンランドでトミ(マキネン)と会って、その時にチーム加入の可能性とテストドライバーになることについて話し合った。そして、その年のクリスマス前に再会して、契約を交わすことになったんだ。その後はヤリスWRCの準備ができた時点で、すぐにテストを始めたよ」

─テストでドライブしたヤリスWRCの第一印象はいかがでしたか?
「最初からとてもいいフィーリングだった。バランスも良かったし、すでにドライブしやすいマシンに仕上がっていた。あれはうれしい驚きだったね。僕はデビュー前のプロジェクトにたくさん携わってきたけれど、ひどい状況のマシンもたくさん目の当たりにしてきた。でもヤリスWRCは最初から信頼性の問題はなかったし、すぐにセットアップに集中することができた。実際にステージを使ったテストがスタートしたのは16年4月からで、他のチームよりも少し遅れていた。それでもトラブルシューティングに時間を費やす必要がなかったから、時間が足りないとは思わなかったね」

─ヤリスWRCはシーズンを通してどこが最も進化しましたか?
「一番鍵になったのはサスペンションとエンジンだ。16年の段階でサスペンションの熟成に取り組んだけど、それはシーズンが始まってからも続いた。そのおかげで、終盤戦の足まわりはかなり良くなったと思う。エンジンについても同じだね。エンジンはフィンランドからエボリューション仕様が投入されたし、ドライバビリティやハンドリングについては開発が絶え間なく続けられた」

─ヤリスWRCの長所はどこにあると考えていますか?
「僕もヤリ-マティも、何回かメカニカルトラブルを経験した。それでもこれまで走った距離を考えれば、信頼性がこのラリーカー最大の長所だと思う。フィランドでヤリ-マティがリタイアしてしまった一件はアンラッキーもあったしね。そして、どんなコンディションやサーフェイスでも、高いレベルで強さを発揮できていることも大きい。このクルマは苦手にしているステージがほとんどないんだ」

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