パドック通信 - 2009 第4戦 バーレーンGP
バーレーンGP パドック通信
2009年4月27日
バーレーンはお馴染みの場所
過去数カ月の間、パナソニック・トヨタ・レーシングは頻繁にバーレーンを訪れています。と言うのも、バーレーン・インターナショナル・サーキットで行われた冬のテストセッションに4回参加しているからです。
2008年のチームのテストシーズンは、12月のバーレーンにて終了し、この時は6日間で計772周、つまり4,178キロを走破しました。更に、年が明けた2月には延べ8日間にわたる2度のテストを行い、この時も711周(3,847キロ)を走り、合計で1,483周、8,025キロを走破しました!これは準備としては、かなりの走行距離と言っていいでしょう。
当然ながら2月と4月では諸々の条件が大きく異なります。例えば、テストの際には、気温が30度に達することは1度もなく、ほとんどの日の最高気温は25度がやっとでした。今回のレースの週末は最高気温が37度を記録するなど、この点に関してはかなり対照的な状況です。
気温はコースコンディションにも影響を及ぼし、路面温度は50度に達しました。また、2月のテストに参加したのは3チームでしたが、今回は10チームが競い合うため、路面にタイヤのゴムが付着するペースも速かったのです。
ただし、そういったコンディションの違いはあったものの(更にはテスト後にTF109にはアップデートが施されている)、今回の本番のラップタイムとテスト時のラップタイムの比較は興味深いものでした。
ヤルノ・トゥルーリの2月の最速タイムは1分32秒230で、ティモ・グロックの方はそれより僅かに遅い1分32秒445でした。今回は気温が上昇したため、土曜日の午後の予選第2セッションでは燃料が軽かったにも関わらず、ティモが1分32秒613でヤルノが1分32秒671でした。
第3セッションではこの2人が共に1分33秒台を記録し、なんとフロントローを独占しました。
美味しい仕事
パナソニック・トヨタ・レーシングのクルマがピットストップの際に燃料補給するのは皆さんご存知の通りですが、では、チームメンバーはサーキットにて、どうやってお腹を満たしているのでしょう?
他チームと同様に、パナソニック・トヨタ・レーシングにもケータリングを担当する専門スタッフがいて、全レースに帯同して食べ物と飲み物を提供しています。
これによりチームはどのサーキットに行っても、質の高い、しかも全員の好みに合った食事を確実に口にすることができるのです。ご当地ならではの食べ物が、寿司であれフィッシュ・アンド・チップスであれ、フォアグラであれ、です。
各レースのサーキットでは、招待客のほか、約60名のチームメンバーが仕事をしており、ケータリングスタッフは1日3食、合計で約800人分の食事を提供するため、忙しく仕事をこなしています。それ以外にもスナックや飲み物が必要なのは言うまでもありません。
これだけたくさんの食事に必要な材料を想像するのは難しいかもしれませんので、念のためここで書いておきましょう。必要な量はフルーツと野菜が約100キロ、肉は約80キロ、パスタは約20キロです。
また、バーレーンのような暑いレースの週末の場合、喉をカラカラにしたチームメンバーがなんと2500本もの飲み物と数百ものアイスクリームを口にすることになるのです!
小林可夢偉がチャンピオン獲得!
パナソニック・トヨタ・レーシングからチャンピオンが誕生しました。サードドライバーの小林可夢偉が、バーレーン・インターナショナル・サーキットで行われたGP2アジアシリーズ最終ラウンドでタイトルを獲得し、優位に立っていたシーズンを見事な形で締めくくったのです。
22歳の可夢偉は、昨年10月に中国で開催された開幕戦からずっとタイトルを争ってきましたが、バーレーンでの土曜日に見事その仕事をやり遂げました。彼は金曜日の予選で2番手タイムを記録したのですが、トップタイムを記録したチームメートのジェローム・ダンブロジアは前回のレースでペナルティを受けており、これにより今回の予選で10グリッド降格となったため、可夢偉がポールポジションに繰り上がり、その結果として2ポイントを獲得しました。
可夢偉は第1レースで4位に入賞し、日曜日の第2レースを待たずしてタイトル争いに決着をつけました。なお日曜日のレースでも5位に入賞しました。
今シーズンは、可夢偉にとって2年目のGP2アジアシリーズでした。昨シーズンは2勝し、ランキング6位になっています。今シーズンの可夢偉は2勝と4回の表彰台、3回のファステストラップを記録し、シーズンの最後をタイトル獲得のお祝いで締めくくりました。
その名に相応しい活躍をした新チャンピオンの可夢偉が、パナソニック・トヨタ・レーシングのホスピタリティエリアに戻ると、その仕事ぶりを讃えるべく、チームの面々が勢揃いして心温まるお祝いの言葉を彼に伝えていました。
「本当に素晴らしい気分!」、と話す可夢偉。「今日はGP2アジアのチャンピオンになることが一番重要なことだった。速くてリスクを厭わないことを示すのも重要だけど、私がやるべき最終的な仕事はタイトルを獲ること。そしてその仕事をしっかりやり終えることができた! でもメインシリーズでまた昇るべき階段がある。それがまた新たな目標であり、新たな挑戦になる。待ち切れない気分だね」
実際のところ、可夢偉がそれほど長く待つ必要はありません。新チャンピオンが休める貴重な時間は僅かです。2009年のGP2シリーズは、2週間後にバルセロナで開幕します。昨シーズンの可夢偉はこの選手権で1勝を挙げていますが、もちろん今シーズンはそれを上回る成績を目標にしています。