〜片山右京/鈴木利男/土屋圭市+由良拓也対談〜1999年レジェンドトリオがル・マンを語る 第3回(2/2)

「今のドライバーは
ただ運転するだけでもすごく頭を使う」

土屋圭市

由良 みなさんは、最近のル・マン24時間についてどう思いますか?

土屋 すごく気になるよね。

鈴木 ラップタイムはむちゃくちゃ速いんでしょ?

片山 予選では3分21秒ぐらい出る。

鈴木 そりゃドライバーは大変だ(笑)。

片山 最高出力は1000馬力以上で4WDだから、フロントタイヤとかも気にしなきゃだし。

鈴木 まあ、それだけクルマも乗りやすくはなっているんでしょうけど、それでも速いペースで走るとなるとドライバーの集中力は大変でしょうね。ましてや、今は3スティントとか当たり前なわけでしょう?

土屋 大変だと思うよ。今のマシンってハイブリッドだから、ドライバーはただ運転するだけでもすごく頭を使うし。その上で全長13.6kmのコースで相手と勝負をしなきゃいけないんだから。

片山 そうとも言えるし、逆に昔のレーシングカーに比べてすべての技術が進化しクルマ自体がやってくれることが増えているから、意外とドライバーはフラットに走り続けることができるのかもしれない。

鈴木 そうだね。ハイブリッドというのはやっぱりトヨタのお家芸で、ドライバーにあまり計算をさせなくても、リニアに最適な配分で走れるクルマになっているんじゃないかな。きっとその部分が一番の秘密でしょうね。

鈴木利男、片山右京、土屋圭市

「僕としてはなんとしても
トヨタの優勝を見たい」

片山右京

由良 さて、今年のル・マン24時間はどうなると思いますか?

鈴木 今シーズンはライバルがもの凄い勢いで力をつけてきたから、もし今年のル・マンでトヨタが勝てたらそれはすごいことですよ。とても価値がある。このところトヨタが何年も続けてWECやル・マンの活動を続けているじゃないですか。これはすごく嬉しいな。2〜3年やって止めて、また一からやってではなくて。ずっと続けて欲しいな。そうすれば日本人が勝つチャンスは絶対に来る。

由良 やはり日本人が日本のクルマで勝つシーンを見たいですよね?

土屋 もちろん見たいよね。

鈴木 とにかく表彰台の真ん中に立って欲しい。

土屋 できれば淡々と走って表彰台ではなく、攻めて攻めて"すげーな日本人! すごいぞ日本の自動車メーカー!"って皆に思わせて表彰台に上がってほしい。

片山 僕としてはなんとしても、トヨタの優勝を見たい。3人全員日本人じゃなくてもいいから、トヨタに勝って欲しいな。

中嶋一貴

「ケガに負けるな!がんばれ一貴。
完走できればTS040 HYBRIDは勝てる!!」

片山/土屋/鈴木

由良 昨年のル・マンでは、また日本人初の快挙がTS040 HYBRIDで生まれました。中嶋一貴選手のポールポジション獲得です。今季はWECフル参戦で張り切っていたところ、第2戦でのクラッシュで負傷しましたが、現在はル・マン出場を諦めずリハビリ中とのことです。中嶋選手へレジェンドの3人からメッセージをお願いします。

土屋 「がんばれ」としか言いようがないよね。そういう職業だからさ、この事態も誰も責められない。強制されてする仕事じぁないから。でもな、やっぱり。「がんばれよ!」としか言えないよね。

片山 一貴と会って話してても、F1のウィリアムズ・トヨタで乗っていた時よりも『今の自分の方が速い』とか、『経験積んで強くなったと思います』って言う。今、本当の意味で、日本のメーカーと日本人ドライバーが世界でちゃんと戦うんだという時なのに......。やっぱ壁が幾つも幾つもあるんだと思う。でも、彼はまたそのハードルを超えて進まないといけない。世の中にはいろいろ恵まれない人、壁に当たっている人がいて、彼はみんなに勇気を与える立場なんだから。今年乗れても乗れなくても、チャンスを来た時に、しっかりがんばれば良いと思います。

鈴木 もし治って乗れるんであれば、今年はチャンスだと思ってます。去年もね、ぶっちぎってたんだし。結果はトラブッちゃったけど。だから、彼が今年走れるなら、本当に最後まで走ってほしいですね。そうすれば、結果はついてくるはずだよ。

片山 そう。TS040 HYBRIDは、まずノートラブルでゴールに行って。でも、そうなれば結果として勝てる。そこに一貴が乗っていたら、もっといいよね。

いかがでしたか? 1999年ル・マン24時間のレジェント・トリオによる豪華対談。豊富なキャリアを持つ彼らにしても、ル・マンは特別なレースであるわけですね。だからこそ、2015年のTOYOTA Racingへの応援もしていただけるのでしょう。
片山右京さん、土屋圭市さん、鈴木利男さん、そして由良拓也さん。お忙しい中、集まっていただき、ありがとうございました。
中嶋一貴選手も今年のル・マン出場に向け、がんばっています。そして、TOYOTA GAZOO Racingもル・マンでの勝利に向け、TS040 HYBRIDの準備を進めています。6月13〜14日、皆さんのご声援に応えられるよう、ドライバーもチームスタッフも関係者一同、全力を尽くします。応援よろしくお願いします。