パドック通信 - 2009 第8戦 イギリスGP

イギリスGP パドック通信

2009年6月22日

決断の時

 

次戦ドイツGPで、ティモ・グロックは新しいデザインのヘルメットを使用します。でも、イギリスGPの週末を迎えるまで、それがどんな見た目になるのか、彼自身も全く知りませんでした。

チームスポンサーのパナソニックは、“パナソニック・キッズ・スクール”プログラムの一環として、ドイツでコンテストを実施しました。これは12歳以下の小学生たちに、ニュルブルクリンクで開催されるドイツGP(ティモの母国GP)で、ティモが着用するヘルメットをデザインしてもらう、というものです。

パナソニックは、以前に日本GPでも同様の企画を実施しました(今年の日本GPで3回目を迎える)。その時はヤルノ・トゥルーリのヘルメットを日本の子どもたちが考える、という企画でしたが、今回はティモの番です。

今回、合計177人の子どもたちから応募があり、その中から厳選されたものがシルバーストーンのパドックに持ち込まれ、それをティモ自身が審査しました。そして熟考の末、ティモは自分が気に入った案を選びました。

ティモはこうコメントしています。「イラストがたくさんあって、良いアイディアばかりだったから、選ぶのはとても難しかったよ。私がこのデザインを選んだのは、まだわずか6歳の子どもが描いたってことと、ファンのみんながドライブしている私に声援を送っている様子が描かれているのがクールだと思ったから。これだというイラストを探し出すまで、長い時間が必要だったよ」

この幸運な優勝者の少年はニュルブルクリンクで、採用されたイラストが描かれたヘルメットを自らティモにプレゼントします。そして少年は、パナソニック・トヨタ・レーシングの特別ゲストとしてVIPルームに招待されます。

また、少年はそのヘルメットのレプリカを受け取ることになっていますが、もしかしたらティモが言うように、それの良い使い道も見つけられるかもしれません。ティモ曰く、「もしかしたら彼はカートを始める可能性もあるし、そうなったらこのヘルメットを使えるね!」

サヨナラ、シルバーストーン

1950年にF1世界選手権が初めて開催されたシルバーストーンですが、2009年のイギリスGPをもって、ここでF1が開催されるのは(当分の間は)最後になります。

パナソニック・トヨタ・レーシングはこれまで8度イギリスGPに参戦しており、2003年にはクリスチアーノ・ダ・マッタがトヨタF1にとって初めてとなるトップ周回を記録するという、小さな歴史の一歩を記しています。

また、2009年のイギリスGPで、トヨタはシルバーストーンにおける小さな一区切りとなる数字も達成しました。2001年以来、26日間のテストと8度のグランンプリの週末を経て、トヨタはこの有名な元飛行場のサーキットで、4000周回を記録したのです。

レースの結果に関して言えば、シルバーストーンは様々な理由でパナソニック・トヨタ・レーシングにとって満足のいく戦いの場ではありませんでした。2009年のレース以前に、チームがポイント圏内でフィニッシュしたのは4度で、その中で最高の成績は昨年のヤルノと2003年のクリスチアーノ・ダ・マッタによる7位です。

ただし、シルバーストーンでの予選ではトヨタは歴史的に見ても好調で、トップ10入りを逃したのは2008年の1度きり。ヤルノは2005年に4番グリッドというシルバーストーンにおける最上位グリッドを獲得していますが、今年の彼は予選で再びその記録と並ぶ4番グリッドを獲得し、レースでもここでのチームにとってのタイ記録となる7位でフィニッシュしました。

レギュレーションをしっかり確認

 

F1は世界で最もハイテクな技術が集約されているモータースポーツだけに、当然ながら、F1を統括する技術レギュレーションはとても複雑です。

今年のディフューザーのような幾つかの問題は、公の場で長期間にわたり議論されてきましたが、その他の数多くのことは、エンジニアたちによる検討の場や車検以外の場所で語られることは滅多にありません。

例えば、15.2.1項を見てみましょう。これは何らかのアクシデントでクルマが転がってしまった際に、ドライバーの頭部を保護するための重要な安全基準です。

レギュレーションの文言は次のようになっています。「全てのクルマには、クルマが上下逆さまになった際に、ドライバーが負傷するのを防ぐ手助けとなるよう設計された2つのロール構造が備わっていなければならない」

「まず、1つ目の要件は、コックピット開口部枠から30ミリ後部にある基準面から、少なくとも940ミリ上部になければならない。2つ目は、ステアリングホイールの前方になければならないが、ステアリングホイールがどんな位置にある場合でも、その最上部分から250ミリ以上前方にあってはならない」

「2つのロール構造は、常にドライバーのヘルメットとステアリングホイールが、それぞれの最高点を結んだ直線の、少なくとも70ミリ及び50ミリ下になるよう、十分な高さを確保していなければならない」

簡単に表現すれば、クルマのボディ構造が、クルマが上下逆さまになった際にドライバーのヘルメットが地面に接触しないようになっていなければならない、ということです。金曜日には、TF109の2台がこの要求を満たしていることを確認するため、シルバーストーンのガレージ内で通常の確認作業が行われました。写真でその様子を見て取れますが、2台とも難なく合格でした。


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2009 チャンピオンシップポイント

ヤルノ・トゥルーリ
32.5pt / 8th
ティモ・グロック
24pt / 10th
小林 可夢偉
3pt / 18th
59.5pt / 5th

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