WEC 参戦記 2017 小林可夢偉編 vol.8
「速さが結果に繋がらず悔しい 最終戦は勝って実力を証明します」
皆さんこんにちは、小林可夢偉です。先日、中国・上海で行われたWEC第8戦上海6時間レースの報告をします。WECも今シーズンは残すところ上海とバーレーンの2戦。長かったような短かったようなシーズンも終わろうとしています。我々TOYOTA GAZOO Racingはマニュファクチャラー、ドライバー両タイトルの可能性を残して上海に入りました。ドライバー・タイトルは僕の乗っている7号車ではなく、(中嶋)一貴の乗る8号車の方ですが、まあ、チームとしてはマニュファクチャラーもドライバーもタイトルが獲得出来れば、この上ない喜びですので、気を引き締めて上海に向かいました。
上海の前の週は、鈴鹿でスーパーフォーミュラ最終戦が行われました。レースは台風の影響で中止になったんですが、調子は良くなって来ていました。スーパーフォーミュラは1、2回勝てばチャンピオンの可能性が出て来るんですが、KCMGに移って1年で勝負できるところまで来たのは良かったと思います。まあ、WECとは関係ありませんが。
上海のWECに話を戻すと、金曜、土曜日の公式練習走行で、順調に車両が仕上がりました。金曜日はマイク(・コンウェイ)がトップタイムでしたし、土曜日の予選では僕も走って、いいタイムが出ました。当初予定では、僕は、予選を走らないはずだったんですが、急遽行くことになってマイクと二人でアタックしました。最初から予選を走るつもりで来ていたら、もう少し合わせ込めたと思いますが、突然行けといわれたので万全な準備ではなかったんですが、上手く全体ベストタイムを出せて、TS050 HYBRIDの速さを示せたのは良かったです。
シーズンも残すところ僅かなのでクルマは大きく変わりませんが、空力の改良パーツは順次投入されています。改良空力パッケージで富士を走っていたら絶対に調子良かったと思いますが、まあ雨だったので分からないままここに来たような感じです。ドライコンディションで走れたここ上海で効果がわかりました。メキシコまでは不調が続いていたので、富士で流れが変わったと言うことですね。
これまではチーム内でも7号車と8号車のセッティングの方向などは違う場合が多かったんですが、いまは両車の間の壁がなくなりつつあります。今回は予選に向けて8号車は我々のクルマをフルコピーしたんですよ。こういうことは今までなかったんですが、そういうことが出来はじめたので、良い方向にいっていると思いますね。逆に、富士では我々が8号車のセッティングをもらったんです。
予選まで全セッションで僕らの7号車が、全てトップタイム。こんな結果はいつ以来だったでしょうか。翌日の決勝に向けて期待がかかりました。
レースは1&2位が、確実だと思ったんですが、ゴールまで残り40分でアクシデントが起きて、とんでもない結果になってしまいました。これが耐久レースですね。レース本戦でのクルマは決して好調とは言えませんでしたが、あそこまでもっていけたんで、最後まで粘りたかったですね。
スタートでは8号車と異なるコンパウンドのタイヤを履いて出ました。8号車はハード、我々はソフトでした。でもソフトタイヤが良くなかったので最初のピットストップでハード側に替えました。ハードに替えてからもそんなに良くなかった。クルマのバランスが思ったほど良くなかったので、辛いレースでした。でも、何とか上位のまま最後まで行ったので...。 最後までしっかり戦いたかったと思いましたが、残念です。
上海のコースはタイヤに非常に厳しかったですね。走行ラインを外れるとマーブル(タイヤゴムのカス)だらけで、そこを走るとグリップが全くなくなります。でも、周回遅れを抜く時にはラインを変えなくてはいけないので、仕方なかったですが。
結果は我々が4位だったので、両タイトルともライバルに持って行かれました。仕方ないですね。でも、我々の7号車はこれまで4回もポールポジション取っているのに、1回も勝ってないんですよ。これが本当に悔しい。きちっと優勝して実力を証明したい。最終戦のバーレーンは勝ちにいきますよ。終わりよければすべてよし、とします。応援お願いします。