2023 Rd.7 AUTOPOLIS

SUPER GT 2023年 第7戦 オートポリス

    12番手スタートの坪井/宮田組GRスープラが大逆転勝利!

    GT500 予選/決勝

    12番手スタートの坪井/宮田組GRスープラが大逆転勝利!

     SUPER GT第7戦「AUTOPOLIS GT 450km RACE」が10月14日(土)、15日(日)の両日、大分県のオートポリスで開催されました。
     全8戦で競われている今季のSUPER GTも残すところ2戦となりました。ここまでの6戦は獲得ポイント×2kgのサクセスウェイト(GT500クラス。GT300クラスは×3kg)が課され、特に前半戦で好成績を残したチームにとっては中盤戦以降厳しい戦いが続いていましたが、今大会はサクセスウェイトが獲得ポイント×1kgと半減(GT300クラスは×1.5kg)となります。
     TGRのGRスープラ勢は、第2戦で優勝、第3戦で2位表彰台獲得の後も、重いサクセスウェイトにもかかわらず着実にポイント獲得を続けている36号車が首位と2ポイント差のランキング2位、大嶋和也/山下健太組 ENEOS X PRIME GR Supra 14号車が14ポイント差のランキング5位、関口雄飛/中山雄一組 DENSO KOBELCO SARD GR Supra 39号車が17ポイント差のランキング6位と、タイトル争い圏内につけており、最終戦でのタイトル争いに生き残るべく今大会に臨みました。
     九州唯一のSUPER GT開催ということもあり、チケットは完売、待ち焦がれたファンの皆様がサーキットに集結しました。サーキット内イベント広場には、TGRブースが設置され、今季限りでのGTドライバー引退を発表した38号車立川のメモリアル展示として、2005年にシリーズチャンピオンを獲得したZENT CERUMO Supraと、2014年~2016年シーズンを戦ったZENT CERUMO RC F GT500を展示。加えてTGRドライバーの思い出のギアやグッズ等も展示され、九州のファンの皆様の注目を集めていました。
     立川とジュニアフォーミュラ時代のチームメイトだった、スーパーフォーミュラ スリーボンドレーシング監督、ドラゴコルセ代表 道上 龍氏のトークショーには多くのお客様が集まり、会場が大いに盛り上がりました。

    予選

     14日(土)午後3時よりノックアウト方式で予選が行われました。朝方は小雨も見られたものの、曇り空ながら天候は回復し、気温は18度、路面温度は25度の完全なドライコンディション。
     Q1では、午前中の練習走行でもトップタイムを出し好調なDeloitte TOM'S GR Supra 37号車の笹原右京が1分31秒895といきなり1分31秒台に入れる好走を見せてトップに立つと、山下の14号車が1000分の5秒差まで迫る1分31秒900で2番手に。そしてセッション最後のアタックで関口の39号車が3番手に飛びこみました。
     国本雄資のWedsSport ADVAN GR Supra 19号車は5番手、石浦宏明の38号車が7番手に入り、TGR勢は5台がQ2へと進出。坪井の36号車はアタックに入ったところで遅い車両に引っかかり、無念の12番手でQ1敗退に終わりました。
     Q2では、10分間のセッションながらいつも通り序盤は誰もコースに出ず、2分ほどを過ぎたところで中山の39号車、自身最後のオートポリスでの予選アタックとなる立川の38号車がコースイン。3分を過ぎて各車続々とコースへ向かい、最後にジュリアーノ・アレジの37号車がアタックに向かいました。
     38号車の立川は、タイヤに厳しいオートポリスで450kmレースという長丁場を見据えたタイヤを選択してアタックに入りましたが、1コーナーで前走車にやや引っかかった影響もあり1分32秒357のタイム。39号車の中山は1分31秒997と31秒台に入れる好走を見せると、14号車の大嶋はこれに1000分の2秒差という1分31秒999をマーク。そして19号車の阪口晴南がこの2台を上回る1分31秒604という好タイムを叩き出し、最前列2番手グリッドを獲得。39号車が3番手、14号車が4番手に。アレジの39号車が5番手、38号車は7番手から決勝をスタートすることとなりました。

    最前列2番手グリッドを獲得したWedsSport ADVAN GR Supra 19号車(国本 雄資/阪口 晴南)
    最前列2番手グリッドを獲得したWedsSport ADVAN GR Supra 19号車(国本 雄資/阪口 晴南)

    3番手スタートのDENSO KOBELCO SARD GR Supra 39号車(関口 雄飛/中山 雄一)
    3番手スタートのDENSO KOBELCO SARD GR Supra 39号車(関口 雄飛/中山 雄一)

    決勝

     15日(日)は天候が回復。気温17度、路面温度27度とやや肌寒いものの路面はドライコンディション。午後1時半、グランドスタンドを埋め尽くしたファンの皆様の見守る中、に大分県警の白バイとパトカー先導によるパレードラップ、フォーメーションラップを経て、97周、450kmの長丁場で競われる決勝レースのスタートが切られました。
     スタート直後の1コーナーで、3番手グリッドの39号車関口が2番手の19号車国本をパス。国本の19号車は序盤タイヤのウォームアップに苦しみ、じりじりと順位を落とすこととなってしまいました。
     7番手でスタートを切った立川の38号車は序盤から好ペースでポジションを上げていき、10周目には山下の14号車をパスし4位へ。さらに13周目には、2位を争っていた関口の39号車と3位のAstemo NSX-GT 17号車をアウトから一気にかわし、2位へと躍り出ました。
     今大会は2回の給油が義務づけられており、各車様々なピット戦略での戦いになりました。早めの車両は10周目台からピットを行う作戦を摂りましたが、立川の38号車は21周を終えたところで1回目のピットイン。2スティント目もドライブを続けた立川の38号車は、数台に先行を許すことになりましたが、その後も複数台のオーバーテイクを見せ、観客を沸かせました。
     一方で、最後までピットインを遅らせたのが36号車。34周目を終えたところで1回目のピットへ向かい、坪井から宮田へと交代。11位でコースに復帰した宮田は素晴らしい走りで順位を上げていきました。
     38号車も立川が好走を続け、折り返しを過ぎた50周で2度目のピットへ向かい、石浦へとドライバーチェンジ。見えない相手との上位争いを続けました。
     ほぼレースが3分の2を過ぎた65周目に36号車が2回目のピットイン。宮田の36号車は5位でコースに復帰し、早めにピットインしてタイヤが厳しくなっているライバル勢のし猛追を開始しました。
     69周目には4位、70周目には3位走行中の38号車をパス。36号車の宮田はランキング首位でチャンピオンを争うNiterra MOTUL Z 3号車よりも1周2秒速いタイムでみるみる差を詰めていき、直接対決に。GT300クラスの車両をかいくぐりながらの、息を飲むような攻防が続きました。
     サイド・バイ・サイドまで持ち込んだバトルの末に、77周目に36号車の宮田が3号車をパスし、2位へ浮上。この時点で首位のARTA MUGEN NSX-GT 16号車との差は5秒以上ありましたが、勢いに乗る宮田の36号車はみるみるうちにその差を詰めていき、80周目にはすぐ後に追いつきました。
     16号車と36号車の首位攻防が続くと、3位の3号車も追いつき、タイトルを争う3メーカーの車両による三つ巴の戦いとなりました。
     87周目、ストレートで16号車に並びかけた宮田でしたが抜くには到らず。しかし、その後も諦めずに攻め続け、第2ヘアピンで16号車をパス。12番手からスタートした36号車がついに首位に立ちました。
     残り10周を守り切った36号車はトップでチェッカー。第2戦に続き今季2勝目を挙げ、ドライバーズランキングでも首位に返り咲きました。2位に7ポイントの差をつけて、3週間後の最終戦に臨むこととなります。
     オートポリスでの最終レースとなった立川が好走を見せた38号車は、後半を担当した石浦が、50周近い長いスティントでタイヤの摩耗に苦しみながらも4位を堅守しフィニッシュ。快走を見せ追い上げた37号車が7位。14号車は8位でフィニッシュし、ポイント獲得を果たしました。

    今季2勝目となったau TOM'S GR Supra 36号車(坪井 翔/宮田 莉朋)
    今季2勝目となったau TOM'S GR Supra 36号車(坪井 翔/宮田 莉朋)

    4位でフィニッシュしたZENT CERUMO GR Supra 38号車(立川 祐路/石浦 宏明)
    4位でフィニッシュしたZENT CERUMO GR Supra 38号車(立川 祐路/石浦 宏明)

    au TOM'S GR Supra 36号車 ドライバー 坪井翔:

     オートポリスで初めての450km戦ということで、ある程度それを見据えてレースを組み立てて来ました。昨日の予選ではアタックしていない車に引っかかってQ1敗退という悔しい結果になってしまい、決勝では借りを返すつもりで準備して臨みました。12番手から、表彰台まで行ければ御の字かなという風に思っていました。僕のスティントでは最初接触があって前のカウルが壊れてしまったんですが、走りのペースも良かったので、落ち着いてしっかりタイヤをマネージメントして、スティントをなるべく引っ張ることができました。1回目をドライバーミニマムの33周を超えるとこまで引っ張ったのは我々だけだったので、そこはすごく大きかったかなというふうに思いますし、最後は宮田選手が怒濤の追い上げで抜いてきてくれたので、見てる側の私にとっては最高のショーでしたが、まさか12番手スタートから優勝できるとは思ってなかったので、非常に嬉しい結果になりました。最終戦のもてぎはあまり良い印象は持ってないので、ここで逆転してポイントリーダーで迎えられるのは良かったです。僕が2年前にチャンピオンを獲得したもてぎの最終戦は、ライバル次第のところがあったのですが、今年は自力で決められる位置で最終戦を迎えられるので、自信を持って臨みたいです。ただ、油断するとすぐにやられてしまうので、気を引き締めてチャンピオンに向けて、最終戦は勝って決めたいと思います。

    au TOM'S GR Supra 36号車 ドライバー 宮田莉朋:

     今日は12番手からのスタートとなり、このオートポリスでは抜くのが難しいので、4位以内が現実的だろうという感覚でした。ただ、去年、僕はピットスタートから9位まで追い上げられましたし、長いレースなので勝算はありました。去年の経験も皆で共有し、そのためにクルマとタイヤを作っていくことをしっかりレースで発揮出来たのが勝因だと思っています。坪井選手も昨日の予選をすごく悔しかったと思いますし、それに応えるのがチームメイトと思っていたので、今日は絶対に前でゴールすることしか考えていませんでした。そういう意味で実現できて本当に嬉しいですし、何よりそこまで良い車を仕上げてくれて、ビット作業も完璧にこなしてくれたチームのスタッフと、応援してくださっているTGRや、スポンサー、ファンの皆さんに本当に感謝しています。次のもてぎは、昨年スープラ勢は苦戦したので、今回オートポリスで優勝してランキング首位で迎えられることは大きいです。もてぎもポールポジションからの優勝を目指して頑張りたいと思います。

    SUPER GT 2023年 第7戦 オートポリス 決勝結果:GT500
    順位No.車名ドライバー周回所要時間/差グリッドSW
    136au TOM'S GR Supra坪井 翔/宮田 莉朋972:50'39.0621249
    216ARTA MUGEN NSX-GT福住 仁嶺/大津 弘樹975.474137
    33Niterra MOTUL Z千代 勝正/高星 明誠975.854951
    438ZENT CERUMO GR Supra立川 祐路/石浦 宏明9717.272718
    51MARELLI IMPUL Z平峰 一貴/ベルトラン・バゲット9718.3491332
    617Astemo NSX-GT塚越 広大/松下 信治9730.958629
    737Deloitte TOM'S GR Supra笹原 右京/ジュリアーノ・アレジ9731.20159
    814ENEOS X PRIME GR Supra大嶋 和也/山下 健太9739.206437
    9100STANLEY NSX-GT牧野 任祐/木村 偉織971'24.414831
    1023MOTUL AUTECH Z松田 次生/ロニー・クインタレッリ971'25.1311440
    1319WedsSport ADVAN GR Supra国本 雄資/阪口 晴南952 Laps227
    1439DENSO KOBELCO SARD GR Supra関口 雄飛/中山 雄一6829 Laps334